オオムカデ

オオムカデとは、オオムカデ目・オオムカデ科に属するムカデ全般のことをいいます。
「オオムカデ」という名のムカデがいるわけではありません。

日本でオオムカデ科に属するのは、全国的にはトビズオオムカデ、アカズオオムカデ、アオズオオムカデなどがいて、
沖縄限定ではハブオオムカデ、タイワンオオムカデなどがいます。

生息範囲、知名度、数的に考えるとトビズオオムカデが圧倒的に多く、
日本でオオムカデといったら、トビズオオムカデのことだと考えて特に差し支えありません。
このページでもトビズオオムカデのことをイコール「オオムカデ」として解説しています。

オオムカデ 黄色足 オオムカデ 赤足


< オオムカデ(トビズオオムカデ)の身体的特徴 >
トビズという呼び名は、頭部が鳶色(赤褐色)であることからきています。
足は基本的には黄色の場合が多いです。
しかしオオムカデは個体によって体色に大きく差があって、
鮮やかな朱色の頭を持つものもいれば、毒々しい濃厚な赤色の足を持つものもいたりします。
ペットとして飼育する人にとっては、体色はその価値が決まるかなり重要な要素になっているようです。

体長はだいたい8cm〜15cm程度。
21個の体節から長い足が1対ずつ生えていて、しかも蛇行するように動くために、
実際に目にしたときは数字以上の大きさを感じます。

ちなみにオオムカデの足の数は42本。
ムカデは漢字では「百足」と書きますが、実際100本ということはなくムカデの種類によって数はまちまちです。
ゲジ目では最少で30本、ジムカデ目では最多の346本の種がいます。
あと足が多い種ほどその足の長さは短くなる傾向にあります。

オオムカデ オオムカデ


< オオムカデの生態 >
オオムカデは北海道から沖縄まで日本全土に生息していて、活動時期は冬以外。
基本的には落ち葉・石・コケの下などの湿った場所に生息しています。

夜行性なので夜になると活発的に移動して、昆虫や小動物を捕まえて食べています。
オオムカデはトノサマバッタやゴキブリはもちろん、小型のネズミまでもを捕まえるぐらいに獰猛です。
触覚で獲物の体温を感知し、急激に接近しその鋭い牙で攻撃して毒を流し込みます。
毒を流し込まれた獲物はその作用によって動くことができなくなり、
そのまま鋭いアゴの餌食になります。

冬は樹木の隙間の奥や、土の中などに潜って寒さをしのいで過ごしています。
温かい隙間を狙って入り込んでいくので、その結果として人が住む屋内に紛れ込むこともしばしば。
かなり狭い隙間にまで入り込むことができるため、古い木造建築の家屋などは簡単に侵入されてしまいます。

オオムカデ 捕食 オオムカデ 捕食


< オオムカデの生殖方法 >
オオムカデの生殖行動が活発化するのはだいたい5月から6月の間。
この時期にオスとメスが出会って意気投合すると、オスは自分の精子が詰まった精筴という袋を排出します。
メスは自分の生殖器でそれを体内に取り込んで保存しておきます。
そして産卵の際にその精子を使用して受精卵を作り、卵を産み出すわけです。
1度精筴を受け取れば半年ぐらいの間、数回に渡って産卵が行えるというから驚きです。

狭くて湿度のある小さな空間を巣穴とし、一度に50〜80個程度の卵を産みます。
メスは自分の体で卵を包み込むようにして、地面に触れないようにしたり、舌で舐めてカビや乾燥から守ったりします。
このメスの行動がないと卵は無事に孵らないそうです。
これは卵が孵っても幼体がある程度成長するまでは続きます。

幼体は2、3ヶ月程度で親離れしてそれぞれ散っていきます。
生殖行動が可能になるまでは3年かかると言われており、その間に何度も脱皮を繰り返して成長していきます。
ちなみに寿命は7〜10年程度です。

オオムカデ こども オオムカデ 卵


< 人間にとってのオオムカデの危険性 >
前述したとおり、オオムカデはよく人家に侵入してきます。
夜行性でしかも狭くて温かいところに潜り込む習性のために、寝ている布団の中に入ってこられるケースもしばしば。
ぐっすり寝ていて無抵抗であってもムカデは容赦なく咬みついてきます(涙)

かなり鋭い牙を持っているので咬みつかれると非常に痛く、しかもその毒は強烈です。
血球溶解作用を持つ毒で、その成分はスズメバチのものに非常に近いもの。
咬まれた箇所は大きく赤く腫れあがって熱を持ち、電流が走るようなピリピリした激しい痛みがあります。
この症状が数時間続いて非常に苦しい思いをすることに。
筆者も膝を咬まれたことがありますが、精神的にも肉体的にもかなりしんどいです。

いちおうオオムカデの毒で命を落とすことはありませんが、乳幼児が首などを咬まれた場合は重症に至ることもあります。
あとごくわずかな確率ではありますが、アナフィラキシーショックの可能性もないわけではありません。
(※アナフィラキシーショック・・・毒に対して免疫反応が過剰に働いて重篤な症状を引き起こしてしまうこと)




< もし咬まれてしまったら >
寝ているときに咬まれた場合、もしくは乳幼児がいつの間にか咬まれた場合は、
咬んだ相手がムカデだったかどうかもわかりません。
まず咬まれた部分を確認してみましょう。

2本の牙によって挟まれるので傷が2箇所ある場合が多いですが、咬まれ方によっては1箇所しかないときもあります。
蚊に刺された痕のパワーアップ版みたいな大きな腫れあがり方をして熱を持っています。
そして時間の経過とともに毒が反応を起こして、痛みが傷のまわり半径5cmぐらいに広がっていきます。

処置としては、まず咬まれた場所を43℃以上のお湯で温めつつ洗い流して下さい。
このとき指を使って傷口から毒が出ていくように押し出します。
熱くて大きな痛みを伴うかもしれませんが、ここは我慢してください。
オオムカデの毒にはポリペプチドやヒスタミンといった、熱に弱い成分が含まれているので、
これらの毒を熱で無効することで後々の苦しみをかなり軽減することができます。

その後はもし常備していれば虫刺され薬を塗ります。
キンカン、もしくは抗ヒスタミン剤やステロイド成分の入った塗り薬が効果的です。
塗布後はアイスノンなどで冷やして安静にしましょう。



これらの処置を済ませて数時間安静にしていれば症状は治まってくると思いますが、
どうしても症状が引かずに苦しみが続く場合は病院へ。
特にオオムカデに咬まれるのが初めてでない方はアナフィラキシーショックの可能性もあります。
大事をとるに越したことはないでしょう。

オオムカデ 毒牙 オオムカデ 毒牙


< オオムカデに咬まれないために >
咬まれた後の処置のことを知っておくことも大切ですが、やはり理想は咬まれないことです。
ここではオオムカデに接触しないための心がけをいくつか紹介しておきます。

@オオムカデが好きな環境を知る
オオムカデはじめじめした湿気のある狭い空間が大好きです。
家の周りにそういった場所はありませんか?
庭の置石、積み重ねられた落ち葉、老木、屋外に雨ざらしになった木材、プランター、放置ゴミなど、
人家のまわりにはオオムカデが住処として好むものがいっぱいあります。
さらにこういった環境にはオオムカデの餌になる生き物までもが集まってきます。
これらを処分したり、整理・整頓・掃除をしたりすることによって
オオムカデを人家から遠ざけることができるわけです。

またそういった環境で作業などするときは、不用意に隙間や放置物の下に手を突っ込まないこと。
オオムカデは何かに接触されると反射的に咬みついてくる生き物です。
必ず厚手の軍手などを装着して、オオムカデの存在を意識しながら作業するようにしましょう。

オオムカデ


A屋内に侵入させない
これが何より一番大事なことでしょう。
どんなに普段気をつけていても寝ているときに近寄って来られればアウトです。
オオムカデに屋内に侵入させない工夫を考えましょう。

まずは戸締りの徹底から。
トイレやお風呂の小窓なんかは常時少しだけ開けておくなんて家庭も多いでしょうが、
昼間はともかく夜間の間は閉めるようにしてください。
湿気を求めてオオムカデが入ってきてしまいます。
その窓が2Fや3Fにあったとしても、オオムカデは垂直な壁を平気で登っていけるので同じことです。

次に屋内と屋外を結ぶ隙間を塞ぎましょう。
木造家屋なんかだと、長い生活の内に家屋が劣化して縁の下や天井へ通じるような隙間が出来がちです。
あからさまな隙間はオオムカデの侵入経路になってしまうので、壁材やパテなどできっちり塞いでください。

仕上げに防虫剤を使います。
ムカデよけの薬としていろんな商品が出回っていますが、自分の経験といろんな方の話、Webでの口コミから判断するに
一番効果があると考えられるのはナフタリンです。
よくタンスの防虫剤なんかに使われているので、そういった商品をそのまま利用します。
玄関、床下、天井裏などの侵入経路として怪しい箇所に配置しましょう。
ただしナフタリンはムカデを追い払うほどの強力なゆえに、人体にも害を及ぼす成分です。
滞在時間が長くなる居間や寝室などに過剰に配置することは控えましょう。
常識的な量の配置ならば問題はありません。
ただし幼児やペットがいる家庭は、誤って口に入れないような配慮は必須です。

ナフタリン


Bオオムカデが部屋の中に現れた!倒し方は!?
ムカデ専用のスプレー系殺虫剤を使うのが一番ベターです。
使用方法は商品によって違うのでそれぞれ取り扱い説明を熟読しておいてください。

しかしありがちなのは、いざオオムカデが現れたときにスプレーが手元にないパターン。
スプレーを取りに行っている間に見失うのが必至ってときには、しょうがない、打撃戦です。
スリッパや太い雑誌を丸めたような武器で戦いましょう。

しかし大ムカデはその見かけどおり、硬い鎧で体が覆われていて頑丈です。
おそるおそる叩いてみたって程度では、奴ら全くひるみません。
「粉々に粉砕してやるッ!」ってテンションで思いっきり全力で叩いてください。
それで動きが止まったのを確認したら、ここで大事なのはもう1回思いっきり叩くことです。
オオムカデは刺激を受けた際に、死んだように動きを止める場合があります。
ここで油断すると突然素早く動き出して一目散に逃げていくので、
死んだふりであろうが、本当に死んでいようが、もう一度叩いて確実に息の根を止めましょう。

万が一逃がして見失ってしまった場合、ナフタリンを使いましょう。
オオムカデが隠れたと思われる隙間に投入すれば、嫌がって出てくることが多いです。
それでも発見することができなかった場合はナフタリンを一時的に部屋中に重点配置します。
そうすればオオムカデはその部屋から出ていくか、弱ってそのまま死んでしまいます。

野生の子持ちオオムカデの動画:



< 近年のオオムカデに関するニュース >
→2015年のオオムカデのニュース
→2014年のオオムカデのニュース